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   先日、家の近くの菖蒲園へ行きました。満開の時期は過ぎていましたが、まだきれいに咲いて、
 紫、赤むらさき、うす紫、ピンクと、甲乙つけがたいでした。
 花しょうぶは、アヤメ科で、ノハナショウブから改良された花で、
 花を鑑賞する種類です。
 端午の節句や、ショウブ湯に使う、ショウブとは、別物で、こちらは
 サトイモ科で、香がいいのもです。
 花でも、お茶碗の生産地でも、似ているもの、紛らわしいものは
 たくさんあります。経験をつんで、違いを覚えるしかないでしょう。
 風炉(ふろ)について風炉点前とは、風炉を用いて茶を点てることを言います。
 この点前は五月から十月の名残りまで行います。
 今は、風炉の時期です。
 この点前に用いる風炉とは、鎌倉時代の茶の湯に鉄の切掛風炉を用いたのが
 始まりとされており、珠光(じゅこう)や紹鴎(じょうおう)の意を受けて
 春日大社の神器を作る土器師が土風炉(奈良風炉)を作り出したのをはじめ、
 歴代の家元方、茶人のお好みができ、形も種々あり、素材は鉄、銅、土、木
 などからできております。
 湯をわかすために炭点前を行いますが、火のおこりをよくするためと清楚な
 美しさを求めて灰型を作り、火口を引きしるための装飾と点前座のほうへ
 火気が発散しないように前土器(まえかわらけ)を用います。
 灰型にはニ文字押切り、ニ文字掻上げ、丸灰押切り、丸灰掻揚げ、遠山
 (とうやま)、向一文字前谷、向山などがあり風炉の種類によってこの
 灰型を使い分けます。灰型のできた風炉に、蒔灰をします。
 蒔灰を雪に見立てて蒔くもので、酷暑には涼しさを感じていただく為に
 多く蒔きます。
 風炉によっては蒔灰をしないものもあります。
 風炉にも真(しん)、行(ぎょう)、草(そう)があり、
 真は眉のある土風炉。
 行は他の土風炉、唐銅風炉、透木風炉、鳳凰風炉。
 草は鉄風炉、板風炉、陶磁器製と大別します。
 風炉にも中国で古来説かれてきた哲理、五行をかたどっています。
 すなわち風炉の中の火、釜の中の水、炭の木、釜や風炉の金、風炉または
 前土器の土です。
 
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