言葉使いに気をつけましょうと、前に申しましたが、会話はもっと重要
です。会話がなければ気持ちが通じ合うことのなく争いも起こるでしょ
う。話せば何もかもが解決できるとは言いませんが、日常生活では大切
な要素の一つだと思います。
茶の湯は、客へのもてなしの心を一服のお茶を中心に表すものです。そ
の心尽くしに、心から感謝するのが客の心得です。稽古でもそのように
受け止めたいものです。稽古場で一言も声を発せずに終るのではなく、
たとえばお菓子をいただき、おいしかったら「おいしいです」と言葉に
表してみましょう。また拝見した道具も感心したり、銘が時候にぴった
りと合っていたら「時候のものをお心遣いいただきまして」と感激を声
に出してみることです、相手もうれしいですし、自分も「おいしいです」
「素適です」などと、素直になって相手の心遣いを受けとめましょう。
そして自分でもうれしいと思うことはしてみることが大切。そう言うと
ころに、人と人との交流が生まれてくるのではないでしょうか。
常日頃から声に出す習慣をつけていると、表情も豊かに心もリッチにな
ると思います。ストレス解消も勿論できるでしょう。
私も本来は言葉に出すのが苦手な人間です。が、言葉なくして生活はで
きません。それなら楽しくできるようにと頑張っている次第です。これ
は皆様に言うよりは自分にはっぱをかけているようなものです。
ごめんあそばせ。お許しを。
<季節点前>
厳寒時には、筒茶碗を用いたりいたします。
筒茶碗は冬期すなわち炉の季節の扱いです。
お客様に少しでも温かい感じを抱いていただく為の暖かさの演出でもあ
り、お茶を点てて客にすすめる茶碗がほどよく温かくならなくれはいけ
ません。筒茶碗はその為の扱いです。
この扱いには、楽茶碗などのように、手のした感触がむっくりとした土
焼の茶碗がふさわしく、まず点前にかかるまでに、水屋で、湯に入れて
充分に温めておき、持ち出す直前に、湯を捨て茶巾、茶筅、茶杓を仕組
みます。
点前では、茶筅通しをして湯を捨て、茶巾をとる時に、右手人差し指と
中指とではさむように持ち、茶碗内の底を「い」「り」と拭き、茶碗の
縁に茶巾をかけて、三回半回して拭き、茶巾を茶碗の縁にかけたままで、
右手で下に置き、茶巾を抜きとり、左手のひら上で元のようにたたんで
から、釜の蓋の上に置きます。
<しぼり茶巾を用いた場合>
湯で絞った茶巾をそのまま茶碗に入れ、取り出す時には、右手人差し指
と中指で取り出して釜の蓋の上に置きます。
茶碗に湯を入れてから茶巾をたたみます。少しでも茶碗を温めておく工
夫です。筒茶碗の筒が深い場合は、少し斜めにするとお茶が点てやすい
です。筒が細い場合は、柄杓の合の小さいものにしてもいいでしょう。
扱う時には胴を横からにぎるように持ってもいいです。
<裂地 きれじ>
通風 つうふう 絹織物の一種。二重経二丁(緯が二色で一越をなすも
の)の糸使いで織られた二重組織(二枚の裂が合わさ
れた重ね織)のものを言う。したがって表裏の文様は
同一であるが色糸は反対となる。上代通風・糸屋通風
・木賊通風・梅波紋通風などが知られる。
モール 名物裂の一種。莫臥児・毛宇留・毛織・回々織などの
字を宛てる。インドのムガール帝国(1526−1857)時
代に織られた緞子に似た浮織物。経は絹糸で、緯ひ金
糸(多くは撚金糸)を用いたものを金モール、銀糸(
撚銀糸)を用いたものを銀モールと称する。草花文様
が多く、西欧的な異国情緒に富む。地合いを段織にし
たものもある。わが国には戦国時代から桃山時代にか
けて、南蛮貿易により舶載された。
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