「教えて茶道」Vol,97

まだ、早春という言葉を使いたいのに、大急ぎで、暖かくなるこの頃ですね。
主婦としては、いえ、せっかちな私は春の用意が追い付かないようで、気
ぜわしいです。いつも先に用意をして、悠々としていたいのに…
温暖化のせいでしょうか?
それなら、地球上の人間一人一人の責任で、考えねばなりません。
自分で、できることを一つ考えればそれは大きなものになりますね。
私は、ゴミを少なくを第一にして、買い物の時に、包装をしてもらわない
ように心がけています。不用品は買わないのが一番ですが…
暖かくなれば、背中を丸めて座っていたのが、立ちあがって踊り出したく
なります。

着物を着ている時の立ち方で、気をつけなければならないことは、
両手は軽くひざの上の置いたままつま先を立て、かかとの上に腰を軽く載
せます。この時に背筋を伸ばし、腰から上の姿勢は崩さないようにして、
かかとをきちんと揃えます。そうしないとひざの中までが後ろにいる人に
見えてしまいます。かかとをきちんと揃えるがポイントです。
次に、右ひざを少し立て、立ちあがるにつれて両手は指を揃えて両脇に下
ろし、まっすぐに立ち上がります。このように基本の所作をきちんと身に
つけることが大切です。
というのも、稽古に慣れてくると基本を忘れ、所作が粗雑になりがちだか
らです。常に初心に帰ることが美しい所作を生みます。


<掛物 禅語の読み方>
「一期一会」いちご いちえ
少し前になりますが、テレビの映画劇場で、「フォレスト ガンプ」
日本語タイトルが、「一期一会」とありましたが、お気づきでしたか?
私の好きな言葉の一つですが、これはお茶の言葉です。

「一期」とは人が生まれてから死ぬまでの間を指し、その「一会」といえ
ば、生涯に一度の大切な出会いということになる。
人生は無常かつ老少不定であり、今日一日は絶対二度とないことを肝に銘
じ、今日の茶会は生涯にただ一回限りの茶会と心得て、主客誠心誠意を持
って真剣にその会に対処すべきである。
茶人として有名な井伊直弼(いい なおすけ)は、例え同じ主客が会を重
ねても、今日の会が二度と行われることはなく、実に一生一度のもので
あるという感慨をのべている。
味わい深い語である。
しかし、その貴重な機会でも、修業を積み、心構えができていなければ、
生かし切ることはできないもので、一生に一度、相まみえる瞬間のために
普段から悔いのない生き方をしておきたいものだ。


<茶事>についての補足
<迎付 むかえつけ>
客と亭主が最初に顔を会わせる瞬間が迎付です。
亭主は客が腰掛でつくろいでいるころあいを見計らい、手桶を持って
つくばいに進みます。手水を使い、手桶の水をザーッとつくばいから
溢れるように注ぎます。
この水音が迎付が近いことを客に知らせます。すがすがし水音に耳を澄
した客は、中門に近づく亭主の姿を見て立ち上がり、中門を挟んで、主
客が無言の挨拶を交わします。最初の出会いが無言の挨拶という形は、
お互いの緊張感を高めていくうえでも効果的な作法です。
こうして、静寂な中に刻刻と茶事のドラマが進行していきます。