「教えて茶道」Vol,96

三月になり、前回説明いたしました「柳緑花紅 やなぎはみどり」の色紙
を掛け、茶碗は、スミレやタンポポの絵柄のものと、入れ替えました。
こんな風に、季節毎に、道具を出したり、入れたりとは、季節を感じる余
裕がなければできません。
情報化時代で、人に遅れまい、機械使用に取り残されまいと、人生の急行
列車に乗ってはいませんか?
そんなに急いで何処行くの?の言葉とおり、急ぐことも必要ですが、時に
は、季節を眺められる各駅停車で、来る春を楽しんで下さい。

三月は釣り釜の季節です。天井から鎖で釜が吊り下げられますから五徳が
不用になりますので、五徳蓋置が用いられたりします。

五徳 ごとく
炉・風炉中に据えて釜をのせる器具。主に鉄製で土製のものもある。
下部の輪から三本の柱が立ち上がり、先端に爪が内側にのびている。
五徳蓋置
五徳形の蓋置き。隠家・火卓とも言う。
台子・袋棚にも用いられるが、普通は炉・風炉中に五徳を使用しない場合
、すなわち切掛風炉・透木風炉・釣釜に使う。
点前に用いる時は輪を上に、飾っておくときは輪を下にして扱う。
鉄製・唐銅・南鐐・陶磁などの物が多い。

釣り釜の写真を掲載しましたので、
ご覧になりたい方はこちらの「教えて茶道」のページへ。
ホームページアドレス
http://isweb32.infoseek.co.jp/art/fwpb/

正座の苦手な人は、両足を深くしっかりと重ねて座っているために重心が
足にかかり、足がしびれやすくなってしまうケースが多いものです。また
このような座り方だと、動作も鈍くなりがちです。
正しい座り方のポイントは、両足の親指を軽く重ねる程度にすることです。
そして下腹に力を入れ、背筋を伸ばして座ります。
女性はひざを握りこぶし一つ分、男性は二つ分開け、足の土ふまずにお尻
をのせる感じにします。
つまり、ひざを開いて(割って)座り、上半身を少し前の方にします。
客の時の手は、きちんとひざにのせておきます。

<掛物 禅語の読み方>
「行雲流水」 こううんりゅうすい
行く雲も流れる水も、瞬時としてとどまるところがなく、時々刻々、常に
動いてやまない。禅の修行僧のことを雲水(うんすい)というのも、何も
のにも、執着せず、雲や水のように自由でなければならないからである。
旅館の使用人として住み込みながら、盲いてまで自分を捜していた母親に
黄檗(おうばく)禅師は「人違いです」と言って立ち去ったと言う。
親子の情すら断ち切り、すべての執着を放下(ほうげ)して修行をしなけ
れば、自由な境地が得られない厳しさ。
茶の湯においても、様々な執着を捨ててこそ、自由な高みに至ることがで
きるものだ。


<茶事>についての補足
<腰掛 こしかけ>
寄付きから露地へ出て腰掛に進みます。露地はこの日の為にきれいに整え
られているので、ゆっくりと風情を味わいながら進みます。
飛び石の上に関守石(せきもりいし 蕨縄で十文字に結んだ石)が置いて
あったら、露地の飛び石の岐路などに置いて、通行止めの標識ですから、
そこから先は立ち入らない印です。関守の役にたとえた物です。
腰掛には円座と煙草盆が置かれているので、各自が円座を使って腰掛けま
す。
亭主の迎え付けを受けるまでここで待つ一時は、なかなか優雅なものです。
爽やかな風を受け、露地の緑を眺めながら、連客同士打ち解けた話なども
しながら、これから席入りする緊張を前に、自然の中でリラックスできる
ように計らった、茶事の流れの演出です。