「教えて茶道」Vol,86

 

昨夜、10時帰宅しました。
2泊3日、岩手県 安比(あっぴ)高原スキー場でスキーを楽しんで参り
ました。暖かく、最終日は、晴天で、岩手山と周囲の山々の景色も味わっ
てきました。スキー歴は長いのですが、上手とはとても云えませんが、
楽しい友人と年齢に合った滑りを、雪質、天候、斜度を選んで楽しんでお
ります。安比スキー場はこの条件にぴったりで、大いに気に入りました。
クリスマス休暇を終えてこれから、主婦の活躍どき、年末お正月を迎え
ますので、頭を切り替えて頑張ります。
いよいよ今年の配信もこれでお終いです。ご愛読ありがとうございました。
今回で正午の茶事の流れの説明も終わります。
来年1月9日より配信いたします。
皆様よいお年をお迎え下さい。


<正午の茶事>(6)

<後炭手前>
亭主は炭斗(すみとり)を茶道口に置いて襖を開けて主客一礼します。
亭主は炭斗を運んで炉の右、定座に置きます。つづいて灰器を持って入り
ます。先に灰器を定座に置いて、炉正面にまわり、羽箒を右手で下ろしま
す。ふくさをさばいて、釜の蓋を閉めます。カンを釜のカン付にかけます。
右手で組釜敷をとり、右膝横に置きます。一膝前に進んで釜を釜敷きに載
せて釜を勝手付まで引き寄せカンをはずします。

<初掃き>
炉正面の戻り、羽箒で初掃きをします。亭主が初掃きを始めると、正客か
ら順に次礼をして、炉辺に寄って炉中を拝見します。
亭主は火箸で炉中の火を直します。炭斗を右斜め向こうへ置き、下座に回
って、灰器を少し炉縁にかけて置きます。
灰匙ののせてある香(匙香)、をたくと、炉中に灰をまきます。灰匙を灰
器に伏せて置き、元の位置に戻し、正面に戻ります。

<炭をつぐ>
羽箒で、中掃きをします。掃き方は初掃き手前と異なり、炉縁、炉壇、五
徳を七回に掃きます。羽箒を元の位置に戻し、炭斗を始めの位置まで、両
手で引き寄せます。火箸を左手で持たせ、右手で輪胴炭を持って炉中につ
ぎます。指先を懐紙で清めます。火箸を持ちなおして、丸ぎっちょからつ
いでいきます。管炭と割管炭、枝炭を一緒にはさんでつぎます。枝炭は初
炭手前とは反対に、枝の元が上になるようにつぎます。後炭の置き方は、
初炭と異なり、本来の定則はありません。
炭の流れ加減と、その後の所要時間を考慮して置きます。客が立ち去る時
に、釜が松風の音を伝えている風情を大切にします。点炭がつがれると末
客から礼をして座に戻ります。火箸を戻し、羽箒で後掃きをします。掃き
方は初掃きと同様で、羽箒を炭斗に戻します。
左正面にまわり、カンをかけて始めに上げた位置まで釜を引き寄せます。
釜正面にまわり、カンをはずします。
下座右斜めにまわって、灰器を持ち帰ります。

<釜に水をつぐ>
水次(みずつぎ)を持ち出します。
水次の蓋には茶巾、口には蓋置きをさして用意しておきます。
釜の正面に座ります。茶巾を釜の蓋にあずけ、水次の口の蓋置きを膝前に
置きます。茶巾で釜の蓋を取って蓋置きに置きます。水を注ぎます。茶巾
で蓋を閉め、蓋置きを水次の口にさします。茶巾を取り、蓋の上、釜の胴
の向こう側を「ニ」手前を「つ」の字を書くようにふきます。
茶巾を水次の蓋の上に置いて持って帰ります。
つづいて席に入り、炉正面に座り、炉に釜をかけます。
一膝下がって、釜の向こうを少し手なりにきります。炉縁の右の方に寄っ
て炭斗を持って帰り、茶道口にて、主客総礼いたします。

<薄茶点前>
亭主はたばこ盆を正客正面に持ち出し、一礼します。干菓子盆を持ち出し
ます。
亭主は茶碗を茶道口に置いて、主客総礼いたします。棚正面に座り、茶碗、
棗の置き合わせをします。建水を持って入り、居前に座ります。柄杓、蓋
置きを出して、茶碗、棗を膝前に置き、棗、茶杓をふくさで清め、茶巾を
出します。
茶筅とうしをしてから、茶巾で茶碗を拭きます。お茶杓を取り、持ったま
まで「お菓子をどうぞ」と正客にあいさつをしてから、お茶をを点てます。
正客は受け礼をして、次客に「おさきに」とあいさつしてから干菓子器を
おしいただいて懐紙に干菓子をとり、干菓子器を次客に送って、干菓子を
いただきます。亭主はお茶が点つと、正面を向けて客に出します。

<薄茶をいただく>
茶碗が出されると正客は取りに出て、茶碗を引いて、次客との間に置いて、
「お先に」膝前に置いて「お点前ちょうだいいたします」と亭主にあいさ
つして茶をいただきます。亭主は一口いただく頃にふくさを腰につけます。
正客はいただき終わると、茶碗を拝見し、次客に送ります。次客は茶碗を
拝見し、替え茶碗にお茶が点って出されるまで縁外にあずかります。
次客は、茶碗が出されると、正客の茶碗を持って出て、替え茶碗を膝前近
くに仮置きし、主茶碗を定座に返します。
次客は自分の茶碗を持って席に戻り、正客との間に置いて「お相伴いたし
ます」次に次客との間に置いて、「お先に」、膝まえに置いて「お点前
頂戴いたします」のあいさつをしてお茶をいただきます。
正客の「お仕舞い下さい」のあいさつがあるまで、薄茶を点てます。

<点前をしまう>
おしまいのあいさつがあると、亭主は「おしまいいたします」の礼をします。
柄杓で水を汲んで、茶碗に入れ、茶筅とおしをして、水を捨てます。
茶巾、茶筅を入れ、茶杓をふくさで清め、建水の上でふくさを払い腰につけ
ます。棗、茶碗を棚前に置き合わせします。水を一杓汲んで釜にさし、湯返
しをして釜の蓋をします。水指の蓋を閉めた時「道具の拝見を」のあいさつ
を受けます。
柄杓、蓋置きをしまい、棗を清め、茶杓を拝見に出します。
亭主は、建水、茶碗をもち帰ります。

<道具の拝見>
亭主が建水を下げると、正客は拝見物を取りに出て、縁内にあずかります。
正客は次礼して、両手をついて棗を縁外で拝見し、左手を添えて蓋を取り、
蓋裏の拝見します。蓋を伏せて棗の右横に置き、身の方も拝見して蓋を閉
め、次客との間縁内で送ります。茶杓も同様にして拝見します。
次客以下も順次、棗、茶杓を拝見します。末客まで拝見が終えると、正客
と末客出合で返します。
拝見物が帰ると、亭主は道具正面に座ります。
正客は棗のお作は(作者)、お成りは(お形は)
   茶杓のお作は、   ご銘は
尋ね、亭主はその問いに答えます。
亭主は道具を持って茶道口に下がり、茶杓を建て付けに置いて総礼し、襖
を閉めて点前を終わります。

<退席>
亭主は時を移さず再び席中に入り、正客から順に、参席いただいたお礼の
あいさつをします。客もそれぞれ扇子を前にして進み、お礼を述べます。
主客一人一人とのあいさつが終わると、亭主は茶道口に下がり、主客総礼
になります。正客は「お見送りご無用に」とあいさつし、亭主は茶道口を
閉めます。
連客は相伴のあいさつをすませると正客から順に次礼し、床を拝見し、炉
辺に進んで、炉中の流れ、釜、炉縁、棚を拝見し、退出します。
末客は、たばこ盆、干菓子器を茶道口に下げておきます。
末客は最後に席を出る時と、障子を軽く音をさせて閉めます。
亭主は障子の閉められた音を聞いて茶道口を開け、返された道具を下げ、
席中に入ります。亭主は座って、静かに障子を開けます。障子が開けられ
ると、主客無言で感謝を込めて一礼します。
連客は名残の露地を静かに帰り、寄り付で身支度を整え、辞去します。
亭主は席中から連客の後姿が見えなくなるまで見送り、静かに障子を閉め
ます。