「教えて茶道」Vol,83

 

12月に入り、いよいよ今年もカレンダーが1枚になりました。
皆様は、どのように今年を送られましたでしょうか?
反省でしょうか?それとも、goodな1年でしたか?
私は、反省ばかりです。
先日、お茶の稽古で、炭手前をしました。
この手前はなかなかするチャンスが少なく、「教えて茶道」で、炭手前を
書いた後なので、すらすらと出来るいい機会だと、思っていましたら、と
んでもない、書くと実際とでは大違いを感じ、いたく反省している次第です。
まあ、順序は覚えていても、正確な道具の位置や動作が優雅に出来ませんでした。
やはり、頭ではなく体で覚えなければいけませんね。
あくまでも、これは一つのヒントにすぎません。実践、稽古あるのみです。
楽しくお稽古しましょう。
いよいよお食事の時間になりました。

正午の茶事(3)

<懐石 膳を運ぶ>
亭主は膳を膝前において茶道口を開け、正客に膳を運び出します。
膳には、手前左に飯椀、手前右に汁椀、向こう中央に向付(むうこうづけ)酒
の肴になる物が置かれています。
正客は進み出て膳を両手で受け、持ったままで、主客一礼します。正客は
膳を置いて座に戻り、膳を取り込み、次礼します。次客以下も同じです。
亭主は、末客まで膳を運ぶと、茶道口で「お箸、お取り上げを」とあいさつし
客は「ちょうだいします」と一礼します。
茶道口が閉められると、正客の「それではいただきましょう」のあいさつに応
えて、連客は「お相伴いたします」とあいさつします。
一同揃って飯椀と汁椀の蓋を両手で取り、飯椀の蓋を仰向け、その上に汁椀の
方を伏せて重ね、膳の右横手前に置きます。
一度使った箸は、先を膳の左縁にかけておきます。飯、汁をいただき終わると、
椀の蓋をします。

<燗鍋と盃>
客が飯、汁をいただいて、椀に蓋をした頃、亭主は盃台に客数の盃をのせて左に
持ち、右手に燗鍋を持ち、席入りします。
亭主は盃台を前向こうと回して、正客の上座横に置き、正客に盃をすすめます。
正客は亭主に一礼して、「お先に」と次礼し、盃を全部盃台から下ろし、一番下の
盃を残して、残りの盃を盃台に戻します。次客へ送ります。
盃を取り上げて、亭主は正客に酌をします。以下同様にして、亭主は末客の酌をす
ると、燗鍋を持って帰ります。
客は酒をいただいてから、向付に箸をつけます。盃は向付の右横に置いておきます。

<飯器 汁替え>
亭主は飯器を持ち出します。亭主が給仕盆を持って「おつけいたしましょう」と給
仕のあいさつをすると、正客は「どうぞお任せを」と辞退いたします。
亭主は正客の上座横に飯器を正面を正して預けます。つづいて給仕盆を持って汁替え
のあいさつをし、正客は椀をのせます。
飯器の蓋を取り、仰向けて手送りします。飯椀の蓋を右横に置き、飯をつぎます。
残らないようについで、末客は、蓋をしておきます。
亭主は汁椀を給仕盆で運び、正客は両手で受けます。次客も以下同じようにして運び、
最後に飯器の上に給仕盆を載せて帰ります。
客一同は揃って飯椀、汁椀の蓋をとって横に置き、いただきます。

<煮物椀>
亭主は正客の煮物椀を給仕盆で運びます。正客の前に進み、煮物椀を膳正面に置いて、
軽く会釈します。運び終わると亭主は茶道口で「どうぞ温かい内にお召し上がりくだ
さい」とあいさつします。客一同は受け礼します。揃って煮物椀を取り上げ、蓋を膳
の右向こうに置いておきます。
亭主はニ献目の酒を持ち出すと、正客の前に進んで酌をします。末客まで酌を終える
と、燗鍋を末客に預けておきます。

<焼物 強肴(しいざかな)>
亭主は焼き物鉢を運び出します。正客前に進むと、焼き物鉢の正面を正して、上座に
預けます。「どうぞお取りまわしを」と一礼し、正客は受け礼します。客は「お先に」
と次礼して、向付の器に焼物を取ります。客は、お互いに酌をして酒をいただきます。
炉の正午の茶事では、一汁三菜が正式です。三菜は、向付、煮物、焼物です。
茶事はあくまでも茶を喫することが主で、懐石は、濃茶をおいしくいただく為に出さ
れるもので、一時の空腹をしのぐ簡単な食事が基本です。
強肴は、一汁三菜の出た後で、もう少しとの心入れから、一品かニ品を預け鉢として
出す場合もあります。

<二度目の飯器>
亭主はニ度目の飯器を持ち出します。正客に預けます。汁替えは辞退いたします。
亭主は茶道口に下がり「水屋で相伴させていただきますので、ご用があればお手をお鳴
らしください」とあいさつします。正客は「お持ち出しの上で、ご一緒に」とすすめ
ます。亭主は辞退して、茶道口を閉めます。
正客は飯器をまわします。連客は和やかに食事をし、酒も客同士で酌をしていただきます。
全部残さずにいただきますが、御飯は少しだけ残しておきます。後で香のものと一緒にい
ただくためです。客は煮物椀を、懐紙で清めておきます。末客は燗鍋、飯器、鉢などを、
亭主側に向けて、茶道口に返しておきます。

<小吸い物椀>
亭主は頃合を見て、茶道口を開け、返された器を下げてから、「お相伴いたしましたが、
不加減で」とあいさつし、正客は「誠に結構にいただきました」と受けます。
亭主は給仕盆にのせた正客の小吸い物椀を持ち出します。正客の煮物椀の横に置き、
煮物椀を給仕盆に載せて、会釈して下がります。末客まで小吸い物椀を出すと、茶道口
に下がって「どうぞお吸い上げを」とあいさつします。客はこれを受けて一礼します。
客は小吸い物椀を左手のひらに取り上げ、蓋を取って小吸い物椀のあとに置き、いただ
きます。いただき終わると蓋をして元の位置に置きます。

<八寸 >
亭主は木地八寸を左手に、燗鍋を右手に持って席に入ります。まず、正客の前に八寸を置き、
三献目の酒を注ぎます。正客は盃を取ってこれを受けます。
亭主は「盃を拝借いたします」とあいさつし、小吸い物の蓋を取り、蓋に八寸の海のものを
取り、手渡します。以下同じようにします。

<千鳥の盃>
亭主は八寸と燗鍋を持ち、正客の前に戻ると「お流れを」と正客に請います。「別盃お持ち
出しを」とあいさつします。再度盃を請われ、懐紙で清めて盃台ごと、亭主の正面に向けます。
次客が亭主に酌をして、正客は懐紙に、肴ニ種をとって亭主にすすめます。
次客からの「お流れを」の所望で、亭主は正客に「盃をしばらく拝借を」とあいさつし、亭主は
盃を清め、盃台ごと次客に出して酌をします。亭主は小吸い物の蓋を取り、蓋に八寸の山のも
のを取ります。亭主、客、亭主、客と、盃が主客の間を渡ることから、これを千鳥の盃といい
ます。こうして末客まで終わると、亭主は正客に「長々とありがとうございました」とあいさ
つして、盃を返し、酌をします。次に正客は亭主に酌をして、盃を飲み干すと「どうぞ納盃を」とあいさつします。亭主は「納盃させていただきます」と受けます。
正客は「どうぞお湯を」と湯を所望いたします。
亭主は、正客のあいさつを受け、受け礼をして、八寸と燗鍋を持ちかえります。
客は小吸い物を懐紙で清め、膳の正面に置きます。

湯斗(ゆとう)と香の物鉢>
亭主は湯斗と香のもの鉢と湯の子すくいを添え、持ち出します。
亭主は小吸い物椀を持ちかえり、「お湯が足りません時は、どうぞお手をお鳴らしを」とあい
さつして、襖を閉めます。
正客は湯斗の蓋を仰向けにして手送りし、次に香の物を向付に取ります。
正客は飯椀と汁椀の蓋を同時に取り、右横に置きます。湯の子すくいで、椀に湯の子をすくっ
て入れ、続いて椀に湯を注ぎ入れます。
いただき終わると、飯椀、汁椀、向付を懐紙で清めます。箸も懐紙で清め、膳の右縁にかけて
おきます。飯椀の蓋は仰向けておきます。

<箸を落とす>
次客以下は、盃を飯椀の蓋にのせます。正客の盃は亭主が下げているのでありません。末客は
湯斗と鉢を茶道口に返します。
正客の合図で、一斉に箸を膳の内に落とします。亭主は箸の落ちる音を聞くと、襖を開け、ま
ず、返された器を引きます。
亭主は「どうもお粗末でした」客は「ごちそうさまでした」と主客総礼します。
客は膳を向こうに出し、前に進み、亭主に膳を手渡します。亭主が膳を受け取ると、正客はそ
のままで、主客一礼します。次客も同様にします。