「教えて茶道」Vol,81

 

紅葉狩には、もうお出かけになりましたか?
ここ、近畿地方では先週末が見頃だとか。
日本では、春は花見、夏は花火、秋は紅葉と、季節を楽しむ感覚が素敵な
ことだと英会話の先生がおっしゃっていました。
外国ではないそうで、日本独特のこのような自然を楽しむセンスは持ち続け
たいですね。
それには感情豊に、美しい物を美しいという感覚を磨かねばいけません。
パープリンの頭では、できないでしょう。ほんまもんになりましょう。
それにはやはり勉強です。茶道でなくとも、何事でいいですから、うわべ
だけでなく、本質を見ぬく感を養いましょう。


炉 正午の茶事(1)

<寄付から腰掛け待合へ>
お茶事の定刻の15分前に着くように伺います。遅刻は論外ですが、あまり
早過ぎるのも失礼になります。
寄付では足袋を履き替えたり、身支度を整えます。持ち物を確認して、要
らぬ物は風呂敷に包んで乱れ箱に入れて置きます。
待合に通ります。待合の床には茶事のゆかりの画幅などが掛けられています。
先客があれば、一礼し、拝見します。
亭主は連客が揃うと湯を持ち出し、「お召し上がりうえ、腰掛け待合へ」
と案内します。
一同そろって、受け礼をして、末客が湯を配り、客一同湯をいただきます。
湯を飲み終ると、正客は「それでは」とあいさつし、正客から次礼して順
に露地へ出ます。
末客は飲み終わった汲み出し茶碗(湯の入った茶碗)をかたずけ、水屋口に
置きます。

<露地へ出る>
待合から露地に出る戸の外には、正客のぞうりがそろえて置かれ、連客の
ぞうりは重ねて立て掛けられています。正客は自分のぞうりを履くと、
次客のぞうりをそろえて置きます。
腰掛け待合には重ねた円座の上にたばこ盆が腰掛け待合の下座に置かれて
います。
正客は腰掛け待合に進むと、円座の上のたばこ盆を上座に運びます。
一番下の円座を末客の席に残し、上の円座を次客の座に置き、一番上の裏
返しになっていた円座を表に返し、自分の席に置き、腰を下ろします。
次客以下も円座に腰を下ろして、しばらく露地の風景を眺め、亭主の迎え
付けを待ちます。

<迎え付け>
亭主は出入り口から手桶を持ち出し、つくばいに進みます。つくばいの
柄杓を使って水を灯篭や周囲にかけます。自らも手水を使って口をすすぎ
つづいて柄杓を清め、手桶の水をつくばいに入れて柄杓を正しく置きます。
客は亭主がつくばいをあらためる気配を察し、迎え付けの近いことを心得
て、静かに待ちます。
亭主は手桶を水屋に戻し、迎え付けに向います。
亭主が枝折戸(しおりど)を開けて迎え付けに出ると、正客は腰掛けを立
って、ニ、三歩進み、出迎えます。
連客も立ち、一同無言のうちに総礼します。
正客は頃合をはかり、「お先に」と次礼して円座を壁に立てかけ、枝折戸
を開けて内露地の風情を味わいながら入ります。
末客は立て掛けられた円座を元の通りになおして、置きます。
つくばいの前で、柄杓を取ります。右手、左手を清め、口をすすぎ、柄杓を
縦にして柄を清めます。
末客は枝折戸を閉めて掛金をかけます。

<席入り>
出入り口に進んだ正客は、障子を静かに開けて、扇子を置いて席中をうか
がい、にじって入ります。ぞうりは表を外にして重ね、亭主のぞうりの上
に置きます。
そして床前に進みます。
床前で扇子を前に置いてまず掛け物に対して一礼し、本紙の語句、表装を拝
見します。
次に炉正面にすわり、扇子を前にして、釜の形や地紋、かん付き、蓋などを
拝見し、炉縁も拝見します。
つづいて棚の方に向きを変え、棚とその飾りを拝見し、扇子を持って立ち、
仮座に座り、全員が拝見し終わると定座に座ります。
末客は、席入りすると、軽く音をさせて障子を閉めます。