「教えて茶道」Vol,80

 

先日、お茶の研究会に行ってまいりました。
そこで、先生の言葉、なるほどと思いましたので、紹介いたします。
挨拶する時に、扇子を膝前に置いて、挨拶をします。
その時、私は扇子の正面を自分に向けては置いていません。
さっと取り出して、置くだけです。
皆様は、意識して置いておられますか?
お茶碗の正面は意識するのに、自分の一番身近な物でさえ、意識がないとは。
意識を持てとおっしゃいました。
何事においても、意識を持つと、持たないとでは、関わり方が違ってくる。
この意識は、お茶だけに関することでなく、会社や社会でも、人生においても言
えることです。
世の中の流れが早ければ早いほど、それに振りまわされず、自分は何をしようと
しているのか、目的は何かを意識していないと、流されて、ノイローゼや心身症
になってしまうと、思います。
無駄と思われる時間も取り、立ち止まるくらいの余裕を持っていましょう。
それが生かされれば、無駄ではないのですから。
問題が起こった時には、「まずは一服」を合言葉に、それくらいの余裕を持てば、
人生は楽しく生きられはずです。
私達は大変住みにくい世の中にいますが、お茶が好きな方は、大丈夫です。
私は安心しております。
お稽古で、精神修業を励んでくだされば。


「茶は茶事にはじまり茶事に終わる」と言われます。
茶事は茶会のことですが、おお寄せの茶会では、薄茶だけが登場いたします。
けれども、正式では、懐石も出されますから、茶道文化のすべてを含んでお
り、お茶の集大成とも言えます。
又、日常の稽古とは、茶事の割り稽古をしていると言っても過言ではありません。
したがって稽古もおろそかにできないです。
又、お客の方も、亭主以上に心得ていなければなりません。
ですが、そうしなければならないからと言って、無理にかまえるものでもあり
ません。それが無理なくできるように、お稽古に励むということです。
これから、少しずつ分けて説明いたします。
まずは、基本になる「正午の茶事」の一連の流れを。

待合 迎え付け
待合で連客を待ち、白湯をいただた後、露地の風情を楽しみながら腰掛で
亭主の迎え付けを待つ。
亭主はつくばいをあらため、枝折戸(しおりど)を開けて
迎え付けに出る。主客無言で挨拶する。

初炭手前
手水(ちょうず)を使い、席入りすると、
亭主は炭斗(すみとり)を運び出す。
亭主が炭をつぐのを拝見し、香がたかれると、客は香合の拝見を請う。

懐石
正午の茶事は一汁三菜が正式。簡素な中にも心を込めて昼食を兼ねた
懐石が出される。
釜の松風(しょうふう)を聞きながら、食事をいただく。

中立ち 後入り
お菓子をいただき、腰掛け待合に出る。
亭主は席をあらため、鳴り物で後入りを知らせる。
後座では侘びた花が主役。

濃茶
釜の湯は峠に達し、今日一番のもてなしの濃茶が点てられる。
一碗の茶を堪能し、茶入れ、茶杓、仕覆を拝見する。

後炭
濃茶の後はさっぱりと薄茶をいただく為に、時の経ち具合を考慮して
亭主は炉中の炭を直す。
客は炉辺で、炭手前を拝見し、亭主は釜に水を注ぐ。

薄茶
釜の煮えがつき始めると、干菓子を出し、薄茶を点てる。
時には替え茶碗を楽しみ、一期一会を喜びを胸に主客は名残を惜しむ。