「教えて茶道」Vol,75

 

十月に入りました。中置の季節です。
少し肌寒く、火が恋しくなるこの頃、壁際にある風炉を、真中に移
動させ、暖かさを演出いたします。心憎い気配りだと思えます。
水指は壁際に置くので、細いものを使います。

月見の催しものがありました。
玉砂利を敷いた庭には、行灯があちこちに置かれて足元を照らします。
床机に座り、一献、懐紙の上には、干しえびと枝豆。
空には、煌煌と光る大きなまあるい月。雨の後では空は遥かに澄み渡
って、幽玄の中に迷い込むような雰囲気。
上の座敷にて、お抹茶席がありました。
中置でした。棗は杵、お月さんの中で兎が餅をついているという故事
からでしょう。ステキなお道具でした。
茶杓は「月影」つきかげと申しますが、影が、陰と言う字ではなく、
これは、月の光を表すとのことでした。
お菓子は小芋、お皿に積んであれば、本物と間違うほどの上出来でした。
お軸は「長安の月」
こんな風流なことができるのも、平和なおかげです。