「教えて茶道」Vol,69

台風が去って、少しは初秋の感じになって参りましたね。
皆様の地区ではいかがでしょうか?

茶道の根本の心は「和敬静寂」(わけいせいじゃく)
の四つにつきると、千利休は言います。

「和」は平和であり、人の和
「敬」は目上の人に対する尊敬、同じ仲間や目下の人に対する敬愛でも
    あります。
「清」は清く正しくかつ静か、清寂ある。
さらに心の平静さ、その落ちつきを云います。
「寂」は茶道の最高のものを示す「わび、さび」を示すと同時に、
    自分を知って欲をすてると言うこと、深い思索、
    考えめぐらした上での心の満ち足りた安らぎを意味します。

スポーツやゲームにもルールがあるごとく、
茶道にも点前作法がそのルールに当てはまります。
初心者は、何もわからず、いわれる通りの順序でいたします。
面倒やなーと思ったり、なんでこうすんのーと思ったりしますが、
だんだんと、これはこういう理由で行われると納得がいくようになります。
焦らず、自分のペースでお稽古を積んでください。

<利休のお話>
 日本一の点前
利休がある日、宇治上林竹庵から招待を受けて、ニ、三の門弟とともにそ
の庵を訪れた。
竹庵は大喜びで、早速茶室に通し、自ら点前をしてお茶をすすめたが、
あまりのうれしさに手元が震え、茶杓は棗の上から落ちる、茶筅は倒れる
といった醜態を演じたので、門人達は、袖引き合ってクスクス笑っていた
が、利休だけは「日本一の点前で御座る」と、感心していた。
帰途門人の一人が利休に、「あんな醜態を、なぜ日本一のお点前だとお褒
めになったのですか」と訊くと、「竹庵は、私に点前を見せようと思って
招いたのではない。ただ一服の茶を飲まそうと思ったのだから、湯の冷め
ぬうちにと思って、怪我あやまちも心にとめず、ただ一心に茶を点てた、
その心持に感心したのである」と答えた。

茶事には、誠心が必要です。いかなる名器が使用されていようとも、どん
なに点前が上手であっても、誠心のないお茶は、誰もほしがりはしません。
ルールを覚える事も欠くべきではありませんが、心を忘れぬように。