「教えて茶道」Vol,60

 

先日、家の近くの菖蒲園へ行きました。
満開の時期は過ぎていましたが、まだきれいに咲いて、
紫、赤むらさき、うす紫、ピンクと、甲乙つけがたいでした。
花しょうぶは、アヤメ科で、ノハナショウブから改良された花で、
花を鑑賞する種類です。
端午の節句や、ショウブ湯に使う、ショウブとは、別物で、こちらは
サトイモ科で、香がいいのもです。
花でも、お茶碗の生産地でも、似ているもの、紛らわしいものは
たくさんあります。経験をつんで、違いを覚えるしかないでしょう。

風炉(ふろ)について
風炉点前とは、風炉を用いて茶を点てることを言います。
この点前は五月から十月の名残りまで行います。
今は、風炉の時期です。
この点前に用いる風炉とは、鎌倉時代の茶の湯に鉄の切掛風炉を用いたのが
始まりとされており、珠光(じゅこう)や紹鴎(じょうおう)の意を受けて
春日大社の神器を作る土器師が土風炉(奈良風炉)を作り出したのをはじめ、
歴代の家元方、茶人のお好みができ、形も種々あり、素材は鉄、銅、土、木
などからできております。
湯をわかすために炭点前を行いますが、火のおこりをよくするためと清楚な
美しさを求めて灰型を作り、火口を引きしるための装飾と点前座のほうへ
火気が発散しないように前土器(まえかわらけ)を用います。
灰型にはニ文字押切り、ニ文字掻上げ、丸灰押切り、丸灰掻揚げ、遠山
(とうやま)、向一文字前谷、向山などがあり風炉の種類によってこの
灰型を使い分けます。灰型のできた風炉に、蒔灰をします。
蒔灰を雪に見立てて蒔くもので、酷暑には涼しさを感じていただく為に
多く蒔きます。
風炉によっては蒔灰をしないものもあります。
風炉にも真(しん)、行(ぎょう)、草(そう)があり、
真は眉のある土風炉。
行は他の土風炉、唐銅風炉、透木風炉、鳳凰風炉。
草は鉄風炉、板風炉、陶磁器製と大別します。
風炉にも中国で古来説かれてきた哲理、五行をかたどっています。
すなわち風炉の中の火、釜の中の水、炭の木、釜や風炉の金、風炉または
前土器の土です。