「教えて茶道」Vol,5

心そわそわした連休も終わりましたね。
気温も高くなって、仕事や勉学にも、疲れが出始め 5月病になりそうな方もいらっしゃるのではないかと 心配いたします。
そんな時こそ、ちょっと心機一転。
有名店の御菓子屋さんで、高いめの御菓子を買って、お気に入りの お茶碗で少し形式ばってお抹茶をたててみては?
私は旅行先で、自分の旅の記念として、お茶碗を買っております。
海外ではなかなか見つけるのが容易ではありませんが、サラダボール みたいな物を見つけております。
先日ポルトガルでも、染付け風(青色模様)縁に金線が入った 物を見つけ、もうお茶碗ばかり買うまいと決めていながらも、 買ってしまいました。が、小ぶりですが、今はそれが気に入って、 毎朝、悦に入りながらお茶を頂いております。
御菓子屋さんででもわかるとおり、それぞれの御菓子に 銘(めい 名前)が付いております。
茶道具にも、銘がついたものが数多くあります。

竹の花入れ 先日のお茶会では 竹生島(ちくぶしま)でした。
楽焼の茶碗 浅緑 (あさみどり)  
*絵茶碗には、付いていません。絵でわかりますから。
特に茶杓では、必ず銘があります。

普段のお稽古の時には、自分で考えて名付けた名前を披露します。
季節の花の名 山桜 藤波 新緑 季節の言葉  五月雨 五月晴れ 夏祭り 季節をとわない銘 好日 松風 千歳 ときわ 瑞雲 5月の今の時期、薫風 緑陰 青嵐 名前を聞いただけで、そのさわやかさ、季節があふれ出てきて、 そんな気分になりませんか?

私の好きな銘に、山吹の花を指して、「歌の戸」があります。
これは、太田道灌の故事来歴によります。
後に江戸城を作った室町後期の武将だが、ある鷹狩の帰りに 雨に降られ、山間の民家で雨具を貸してくれるよう頼んだ。
だが、出てきた娘は黙ってヤマブキの花を一枝差し出した。
はてはどういうことかと、いぶかしがって帰ってくると 家来の一人が教えてくれた。

後拾遺和歌集に 「七重八重花は咲けども山吹の 実のひとつだになきぞ悲しき」 という歌がある。娘はこの「実の」と雨具の「蓑」をかけて、 蓑ひとつもありませんと断ったのだと。
ちなみに、ヤマブキには実がつくが、八重のヤマブキには 成らないのだという。
いずれにせよ道灌はこれで自らの無学を恥じ、歌の道に 精進し歌人としても知られるようになった。
ひとつの銘にこんな話しがこめられている、又この銘を聞いて ヤマブキに思い当たるってことが、奥ゆかしくと同時に、いつでも 勉学心を持つ、お茶らしい精神だと思いますが、 皆様はどのようにお考えでしょう?