「教えて茶道」Vol,36

今年もあとわずかで、2000年の幕が下りようとしています。
皆様にとって、今年はどんな年でしたでしょうか?
いやな事や、悲しい事があった方は、これは来年のよい事を迎える
踏み台だ、ジャンプへの助走だとお思い下さい。
かならず、来年はいい事がありますよ。
私は、4月より「教えて茶道」を配信して、皆様に読んで頂けて 今まで続けられたことが、一番うれしい事です。
来年も頑張りますのでよろしくお願いします。
今年最後の配信として、重複しますが、[茶道」についてを申します。

お茶を稽古するということは、最終目的はお濃茶をおいしく頂く、
その為にお食事をして万全の体制を整える(お茶事をする)
ということです。

お茶事とは
お濃茶を美味しく頂だく為の一連の所作、流れとでも申しましょうか。 炭点前  湯を沸かす
懐石   食事をいただいた後、お菓子
濃茶   これが主です。
薄茶   客、亭主が一緒にくつろぎます。

基本が薄茶から始まって、季節毎の所作、道具によっての点前の
違い等を稽古します。
それに加えて、かけ軸の文字の読み方、花の種類、道具の作りなど。 それらが禅の精神の影響を受けて、「道」となり、ただ、単にお茶を
飲むだけでなく、精神修行にもなります。
美味しいお菓子も、苦味のあるお茶も好きですが、この精神探求が
私にとって、お茶を引きつける一番の魅力です。
お茶を目指す人には茶ごころ、心がまえとでも申しましょうか、
この心が不可欠です。
端的に表した文章を紹介します。
茶ごころという言葉の大一義的な意味は、打てばひびく心とでも 申しましょうか、相手の心入れを汲みとって小さく打てば小さくひびき、
大きく打てば大きくひびく感度であり、相手の心のヒダの奥深くまで
感じる事の出来る能力とでも言うべきものでしょう。
その結果茶ごころの行きつくところ、主と客とが渾然一体となる
「主客一如」と言う境涯が成立します。
最後には共に、喜び、くつろぎます。

茶ごころの第二の特色は、物の消費は出来るだけ控えめにして、
心の働きでそれを補おうとするところにあります。
千利休の言葉として伝えられる「家は雨水を防ぎ、食は飢えを
しのげばよい」あるいは、「よろず分相応にせよ」と言う水準に、
物的消費はとどめておいて、そのなかに却って王侯貴族の及ばない
楽しみを見出す。そう言う心の側の工夫を大切にすることだと
思います。
この心の工夫が憧憬の世界を創り、さらには侘び寂びの境地を産む のではないかと思います。

茶ごころの第三の特色は、和敬静寂のモットーに示されるとおり、
和を尊び、いさかいをしりぞけ、おのれを律して、夜郎自大(から
いばりで亡びた秦代夜郎国の故事)に走らない、
珠光が好んだといわれる論語の一節「大廟に入りてことごとに問う、
これは礼なり」にみられる謙虚さであると言われております。

心と物の工夫、それを共に理解し楽しみ、くつろぎ、謙虚である。
この精神は、どの世界にでも、会社、人の集まり、夫婦間、恋愛でも
通用する事だと思います。
己の能力を知り、その中で自分の幸せを追求する、これが幸せの
第一歩だと思います。

次回は2001年1月10日より配信いたします。

読者の方の「和」のホームページの中に 私の配信した「教えて茶道」
1よりを、載せていただきました。 ご尽力にお礼申し上げます。
お読みになりたい方はこちらへ訪問して下さい。  
<和 Gallery> http://homepage2.nifty.com/waza/index.html

では、皆様よいお正月をお迎えになりますよう、心からお祈り申し上げて2000年の配信を終わらせていただきます。