「教えて茶道」Vol,192

三月半ば、もう花便りがちらほらなのに、寒さが続きましたね。私の中
ではもう春に切り替えてしまったから、少々薄着で我慢しています。
皆様も気候の変化には十分にお気をつけてくださいね。
久しぶりに岩登りに挑戦しました。スパイダーマンのごとく岩を登るの
ですが、下から登る時はこれを登ってやろうという意気込みでやり始め
ますが、途中で足元を見ると「あーこわー」と高度さに進めなくなりま
す。落ちたとしても下でロープで確保はしてあるので安心して登ればい
いのですが、やはり二の足を踏みます。これを乗り越えれば悠々と登れ
ます。勿論それなりのテクニックは必要ですが。達成感は心地よいもの
です。
お茶の稽古でも、難しい、ややこしいと思う点前をやりとげると「やっ
!」という満足感に達成感はありますね。日頃の稽古がものを言うでしょう。

稽古の中に荘り点前(かざりてまえ)というのがあります。
この点前は、茶事、茶会を催す時に由緒のある道具を使用する時の稽古
です。道具が拝領品とか、由緒のある場合、軽い意味では目上の人から
頂戴した品、当日の連客からいただいた品を用いる場合などです。
種類は、
茶入荘(ちゃいれかざり)茶入に由緒がある時
茶碗荘(ちゃわんかざり)茶碗に由緒がある時
茶杓荘(ちゃしゃくかざり)茶杓に由緒がある時
茶筅荘(ちゃせんかざり)水指などに由緒がある時
決まりとして
・茶事の時、初入りの迎えつけをする前に、床に軸を掛け、道具を荘ります。
茶入の場合なら、床に帛紗を敷きその上に仕覆に入った茶入。
茶碗の場合、荘ざる茶碗を御物袋(紫または白の縮緬袋)に入れ、床の
      上座か下座かに帛紗を敷き、その上に荘っておきます。床
      中心には格別の品の他は荘りません。
茶杓の場合、床の上座か下座かに帛紗を二つ折りにして、その上に茶杓
      を入れた筒を銘が書かれたほうを上にして荘付けます。
茶筅の場合、この場合、前席床に軸の他に何も荘りません。

・棚は用いません。
・水指を定座に置き、蓋の上に茶巾、茶筅、茶杓をのせます。茶碗に茶
 入を入れて水指前に置きます。
・客が席入りすると、建水を膝前に置いて茶道口を開けて入り、濃茶点
 前します。
・点前 外隅ねらいで座ります。
両手で茶入の入った茶碗を膝前に置き、茶入を清め、茶杓を清め、水指
の上にある茶筅を定位置に置きます。
茶筅を入れて湯を入れてから茶碗を両手で手前にひきます。
茶入の場合、茶入を仕覆から出して清める時、懐中より古帛紗を出し
      て茶入の置く場所に広げます。
      拝見が終った時に茶入の由緒をたずねます。
茶碗の場合、茶碗の扱いに左手を添えます。
      濃茶を点てて、次ぎに茶碗に左手を添え、右手で取り左掌
      にのせ、両手で客付に持って回り、左手を添えて膝前に置
      きます。懐中より古帛紗を取り出し、左掌にのせ右手を逆
      手にして古帛紗を持ち替え、茶碗を出す位置に広げます。
      次ぎに茶碗を膝前で右向こう、左手前と回し、左手を添え
      右手で古帛紗の上にのせて、一膝下がり両手をついてひか
      えます。正客が茶碗を取り込むと、一膝進み手を膝の上に
      上げます。
      茶碗が定座に返されると、亭主は客付きに回り、正客から
      の茶碗の由緒、窯元などに答えた後、茶碗を左手添え右手
      で膝前に取り込み、古帛紗を二つに折って懐中します。
      茶碗を左手を添え右手で取り、左掌にのせて居前戻り、膝
      前に左手添えて右手で置き、総礼します。
茶杓の場合、拝見ものを出す時、茶入を客付きで清めて出し、帛紗を腰
      につけ、水指正面に戻り、懐中より古帛紗を出して左掌に
      のせ、右手で茶杓を取り古帛紗の上にのせて居前に回り、
      居前より茶入の右に古帛紗ごと出します。拝見時に由緒を
      作者と銘と共にたずねる。
      拝見の挨拶が終ると、仕覆を取り、左掌にのせその上に茶
      杓を置き、古帛紗は懐中します。
茶筅の場合、建水を持って入り、定座につき、柄杓を取りかまえて、
      蓋置きを出し柄杓をひいて、主客総礼した時正客よりたずねる。

<茶碗 ちゃわん>用語

雨漏  あまもり
     朝鮮茶碗の一種。李朝前期につくられたものであるが、窯場
     や材質から類別された定型的な名称ではなく、焼成後に生じ
     た器面の浸みを、壁の雨漏りに見立ててつけた景色名である。
     したがってこの名で呼ばれる茶碗には、窯場や材質を異にす
     る各種の作品が多元的に含まれている。概してこの時期の朝
     鮮民窯産の陶器には、土・釉の質はあまり上等ではなく、焼
     成も不完全であることが多く、そのため釉面に微妙なピンホ
     ールが生じ、使用するに従いそこから鉄塩やタンニンなどの
     異物が浸込み、この雨漏り現象を呈するに至ったものである。
     一般には粉引(こひき)風のものが多く、柔らかな感じの茶
     碗と印象されているが、中には堅手(かたで)だちの硬質な
     ものもあり、雨漏堅手(あまもりかたで)と呼ばれる。代表
     的なものとしては、水戸徳川家伝来の「無一物」、青地家伝
     来の「蓑虫」、酒井家伝来の「雨漏」などがある。

飴釉  あめぐすり
     飴色の釉。鉄分の酸化焼成による発色である。大樋焼では初
     代以来主としてこの釉を特徴としている。