「教えて茶道」Vol,187

お茶の友人で、別荘をお持ちの方とお知合いになり、そこへ招待してく
ださいました。喜んでお伺いしたのは勿論ですが、お茶の友人ともなれ
ば、お菓子にお茶は必携です。もう1人の友人がお濃茶を持参いたしま
した。その別荘には、水屋も炉もあるのですが、まだ道具類が揃ってい
ないのですが、今回はテーブル席でので味わいました。でも旅先では格
別の味がいたしました。これからのお楽しみになります。

大炉のお茶席に行って参りました。見る機会は少ないので、よかったです。
でも席中は大勢さんですからぎゅうぎゅう詰めでした。
道具を少しばかり紹介いたしますと、
釜  肩衝広口 与次郎造り 
        一段と大きな寸胴で、暖かく客をおもてなしますが炭
        手前では重たいだろうと変な感心をいたしました。
茶杓 淡々斎作 歌銘 軒場の梅
       千載集 藤原俊成
       「春の夜は軒端の梅にもる月の光もかをるここちこそすれ」
        
茶碗 塩げ 掛分釉  銘 山蔭  弘入造
炉縁 北山丸太 好斎

千載集
   千載和歌集 勅撰和歌集。1183年後白河法皇の院宣のより、89年
   藤原俊成撰。一条天皇以後200年間の、後拾遺集に洩れた歌より
   撰集。初出歌人多く、温雅妖艶な中に幽寂な境地を表す。
塩げ
   朝鮮の塩入れ小壷。胴がふくらみ、口が締まった形。古くは堺衆
   の滝田盛秀や明智光秀はこれの香炉を所持。なお茶碗として用いられた。


厳寒の二月、宗家では咄々斎の次の間に大炉(だいろ)が開かれます。
大炉の点前は、十一代玄々斎宗匠が北国の囲炉裏から創案されたもので、
立礼式や茶箱点前と共に裏千家独得のものです。
六畳の間に逆勝手に切るのが約束で酷寒の二月に用いられます。
普通の炉が一尺四寸四方であるのに対して大炉は一尺八寸、一辺が12
センチほど長く、さらに逆勝手(ぎゃくがって)で炉に近づいた手前と
なり暖かく客を迎える工夫です。利休七則「冬暖かく」の心配りです。
逆勝手、左勝手・非勝手ともいい、本勝手(普段の場合)対していい、
亭主の座る点前畳の左側に客が着座する構えをいいます。
炉縁も木地に限られ、炉壇もねずみ色が約束です。ごく侘びた風趣の点
前です。
点前は炉の逆勝手と概して相違はありません。


<古筆 こひつ>
古い書蹟の意。古書蹟に対しての和称。茶湯の発展もこの称を流布させ、
桃山時代以降は古写経・古写本・歌切・古文書などの総称として普及し
た。古筆切(古経切を除く)・古筆手鑑ないし古筆屋などの称もある。

古筆切 こひつぎれ
       和歌集を主とする和様の優秀な古書蹟の断簡を称する。
       筆者は有名な公卿・歌人・僧侶などが多いが、真の筆者
       はごく稀で、伝称がほとんどである。東山時代や茶湯が
       盛んになるにつれ、名筆の鑑賞も高まり、競って古筆を
       断片にして手鑑に押したり、掛幅とするようになり、そ
       のため貴重な古書蹟が寸断されるという弊害が現代にも
       続いている。古筆手鑑では、
       「大手鑑」(国宝・陽明文庫蔵)
       「野辺のみどり」(重文・前田育徳会蔵)
       「藻塩草」(国宝・京都国立博物館蔵)
       「翰墨城」(国宝・熱海美術館蔵)
       「見ぬ世の友」(国宝・出光美術館蔵)などがある。