「教えて茶道」Vol,173

天高く馬肥ゆる秋の、いいお天気が続いていますが、ハイキングやスポー
ツには絶好の季節です。身体にいい運動していますか?
お茶のような静かなこともいいですが、身体を動かすことも、体調を維持
するためにはかかせないことです。
私はどちらかと言えば、家の中で、お茶や読書、縫い物などが性に合って
います。ですが、足腰の衰えは若さや好きな旅行には大敵です。
夫の趣味の山登りにできる限りついて行ってますが、後がたいへん。先日、
八ヶ岳テント泊に同行しましたが、なかなか疲れが取れません。
山を登る時「なんでこんなしんどいことすんねん、金輪際しない」なんて
思いながら登るのですが、頂上からのすばらしい景色や山を登った、やっ
た!の達成感はたまりません。
又、行きたくなるのですね。自分の力量を忘れて。
さて、
皆様も、「一期一会 いちごいちえ」と云う言葉を耳にされたことがある
でしょう。映画の題名にもなりました。どう云う訳かはわかりませんが。
この「一期一会 いちごいちえ」は、お茶から出た言葉ですから、辞書で
調べて説明をいたします。

「一期一会 いちごいちえ」
人生は無常かつ老少不定であり、今日の一日は絶対に二度とない事を肝に
銘じ、今日の茶会は生涯ただ一回限りの茶会であると心得て、主客ともに
誠心誠意を持って真剣にその会に対処すべき事を説いた言葉である。
文献上では「山上宗ニ記」に収録されている「茶湯者覚悟十体」の一条に
「道具開キ、亦ハ口切ハ云フニ及バズ、常ノ茶湯ナリトモ、露地ヘ入ルヨ
リ出ヅルマデ、一期ニ一度ノ会ノヤウニ、亭主ヲ敬ヒ畏ルベシ」とあるの
が最も早い。
ことに井伊直弼はその著「茶湯一会集」の序説において、この語を強調力
説している。因みに、それは「抑、茶湯の交会は一期一会といひて、たと
えば幾度同じ主客交会するとも、今日の会に再びかへらざる事を思えば、
実に我一生一度の会也。さるにより、主人は万事に心を配り、いささかも
麁末なきやう深切実意を尽くし、客も此会に又逢ひがたき事を弁へ、亭主
の趣向何一つおろかならぬを感心し、実意を以って交るべき也。是を一期
一会といふ」とある。

意味深く、心にずしりとくる言葉ですね。
一日、一日を大切に、又人との出合も大切にするべきは勿論ですが、あま
りの時の流れの速さに、それを粗末にしている傾向が私にはあり、反省の
毎日ですが、喉もと過ぎれば忘れてしまって、又もや反省反省と戒めてい
る次第です。
24日〜30日まで、東北の旅に出かけますので、申し訳ありませんが、来週
は、お休みさせていただきます。
皆様もだんだんと寒さが近づいてきましたので、お気をつけてください。


<座り方>
正座の苦手な人は、両足を深くしっかりと重ねて座っているために重心が
足にかかり、足がしびれやすくなってしまうケースが多いものです。また
このような座り方だと、動作も鈍くなりがちです。
正しい座り方のポイントは、両足の親指を軽く重ねる程度にすることです。
そして下腹に力を入れ、背筋を伸ばして座ります。
女性はひざを握りこぶし一つ分、男性は二つ分開け、足の土ふまずにお尻
をのせる感じにします。
つまり、ひざを開いて(割って)座り、上半身を少し前の方にします。
客の時の手は、重ねてきちんとひざにのせておきます。
このようにしてもしびれるものはしびれますが、周囲を見て雰囲気を壊さ
ないように、上体をあげるのも一つの手かもしれません。
亭主の時の手は、指を揃え、両膝の上に「ハ」字になるようにのせます。
5本指はどんな時にも揃えて、離さないように、グ、チョキ、パーのパー
のようにならないようにしましょう。


<茶入>名物の茶入
名物の茶入は、姿形、釉景(ゆうけい)が優れているだけでなく、その伝
来の由緒が卓越している品をいい、主として唐物です。
室町時代のものを大名物(おおめいぶつ)、桃山時代のものを名物、江戸
時代初期に小堀遠州(こぼりえんしゅう)が選定したものを中興名物と呼
びます。名物の中で最も典型的で有名なのが、大名物の初花肩衝(はつは
なかたつき)です。姿は理想的な肩衝で風格が高く、釉景の色合い、なだ
れの景色などほかに例を見ない名品で、その風情が世に先がける初花を思
わせるところから足利義政が命銘しました。その後、信長、秀吉、家康と
三人の天下人に珍重され、徳川本家に今日まで伝わります。


<掛物 かけもの>
薄端  うすばた 古銅花入の一種。口が大きく開き、口縁が小さな立ち
         上がり縁をなすもの。宗旦好み薄鯉耳花入が知られる。

詠草  えいそう 和歌などの草稿をいう。様式に竪・横の両用があり、
         詠進などの公式の場合には竪詠草を原則とし、添削
         などを受ける場合は横詠草が多い。慈円筆「岩上松」
         詠草、定家筆「あきよただ云々」詠草、寂蓮筆「河上
         落葉」詠草などが名高く、宸翰詠草は床掛物として珍
         重される。俳句でも詠草の称が用いられる。
     
懐紙  かいし  和歌・連歌・詩・俳諧などを詠進する正式な料紙。
         ふところ紙・畳紙(たとうし)から起こった。
         古くは檀紙・杉原紙が用いられ、貴賎によって寸法も
         異なるし、書式についても和歌懐紙は三行三字(九・
         十・九の三行、三字は万葉仮名)に書くなどの制が説
         かれるが、厳密に行われたものでもない。
         料紙の袖を掌の幅ほどあけて歌題を書き(端作 はし
         つくり)、次に官位姓名を認め、そして歌を書く。
         なお歌数が多く、懐紙が二枚以上となる続懐紙も知ら
         れるが、一紙一首が正式であり、歌題が記されるので、
         一紙では三首がほぼ限界である。
         江戸時代には大型の大懐紙も現われた。詩懐紙の書式
         も歌懐紙とほぼ同様だが、連歌懐紙・俳諧懐紙は別に
         書式が定まる。和歌懐紙では一品経懐紙・熊野懐紙・
         春日懐紙をはじめとし、北山懐紙・聚楽(第行幸)懐
         紙などが多数一類となってのこったので著名。
         なお宸翰和歌懐紙が珍重される。

卷子   かんす 卷子本古今集切(かんすぼんこきんしゅうぎれ)
         古筆切。伝源俊頼筆。卷子本に書写されている古今集
         の断簡。料紙は唐紙および臘箋、散らし書きが多く、
         非常に巧妙である。運筆は迅速自在であり、よどみな
         く流れる線が非常に美しい。筆者を藤原定実とする説
         もある。平安時代後期の名品の一つ。

砧青磁 きぬたせいじ
         中国の龍泉窯青磁の一種。南宋代に龍泉窯でつくられ
         た青磁のうち粉青色の最上のものを日本では砧手と呼
         んだ。
         この名の起こりは、ある鯱耳の花生にひび割れがあり、
         響きに因んで利休が付けたという説と、足利義政所有
         の花入の形が絹を打つ砧に似ていたので付けられたと
         いう二説がある。日本ではさらに南宋時代から元代に
         かけての龍泉窯青磁を天龍寺手、明代のものを七官手
         と呼ぶ。