「教えて茶道」Vol,171

いつもの通り、十月になりましたので、決まり事を述べましょう。
中置(なかおき)の点前になります。十月だけです。
普通は、左端から風炉、水指と置きますが、風炉を点前畳中央に置き
ますので、水指は風炉敷板左前斜めに座って、水指を敷板半がかり、
畳の左縁と敷板の中間に置きます。
ですから、大きいのではなく、細長い水指を使用します。
棗とお茶碗は、元の水指前に置く位置に置き合わせします。
蓋置は、水指正面に置き、柄杓の柄は、膝頭中央にきます。
柄杓を釜に置くと、真正面になりますが、こころもち左よりに置きます
と、茶筅通しが、しやすいです。
敷板に大板や中板などを用いたりします。
大板の場合、板の手前、左に蓋置き、横まっすぐに柄杓を置きます。
飾る時は柄杓と蓋置きをとじ飾りします。
即ち、大板の左側に縦まっすぐに柄杓を置き、柄杓手前右にカタカナの
トの字のように飾ります。

中置点前の時の諸道具は、大体侘びた趣向でしますので、風炉も鉢の鉄
のかけた破風炉とか、ときには大摺鉢に藁灰等を入れたりして使用する
のも面白いものです。

また、十月は名残の月でもあります。
半年にわたって親しんだ風炉とも今月限り。
名残の茶事が行われるのもこの時期、十月中頃から十一月始め。
残茶・余波の催とも言います。
去年の口切から使い続けてきたお茶が、風炉の終わりの時期になると残
り少なくなるため、茶そのものに名残を惜しむ侘びた茶事です。
また、お茶だけでなく、やがて深まる秋と共に去りいくものへの名残が
つのります。

花は、残花と言って、たくさんの花を奇数入れます。

欠風炉(かきぶろ)
鉄風炉の甑や肩の一部が欠けてなくなったものや、割れを継いだもの、
破れ風炉(やれふろ)・やつれ風炉とも言って、この時に使います。

欠け茶碗
欠けや割れの入った茶碗に繕いを施した物など使います。


<茶入>糸切(いときり)
茶入の底の部分は、多くの場合、糸切の跡を残しているので糸切と呼ん
でいます。糸切は茶入を形造り、回転しているロクロの土台から切り離
す時にできる渦状の線をいいます。糸切にはいくつかの種類があります。
唐物糸切(渦紋が右巻き)・和物糸切(渦紋が左巻き)渦糸切・板起し
などです。
板起(いたおこし)は糸を使わないで切った線のないもの、
渦糸切(うずいときり)は後から線を入れたものをいいます。
糸切の鮮明度は、土味によってさまざまに変化しますが、概して鮮明な
ものの方が喜ばれます。
糸切を拝見する際は、茶入にお茶が入っている場合もあるので、口を懐
紙でふさぐ等の注意が必要です。


<釜・風炉・灰型>
四方 よほう  茶湯釜の一種。胴部が四方形をなす釜である。升釜・角
釜・算木釜なども四方釜の一種と言える。古くは芦屋・
天命にあり、「利休四方釜」(芦屋作。利休・宗旦所持)
は、「利休百会記」によると百回中七十三回まで使用さ
れたという。
繰口・無紋で、共蓋が添い、首の長い椎実撮みが付けら
れている。鐶付は鬼面で常張鐶付である。辻与次郎・弥
四郎・藤左衛門ほか多数の釜師により作られている。
大は少庵好み、小は宗旦好みとされ、原叟好みは角釜と
称されている。
       
立鼓 りゅうご 鼓の胴のように両端にひろがり中央がくびれた形を言う。
輪鼓とも書く。花入・蓋置・水指・釜などの意匠として
採り入れられている。