「教えて茶道」Vol,147

花の季節、これからはいろいろな花が順番に咲き乱れ待ち遠しです。
日曜日はお天気もよく、京都伏見稲荷〜大文字山まで歩いてきました。
桜はまだでしたが、今にも出番だというように蕾がはじけそうでした。
つばきは盛んで、形よくこんもりとした木に赤い椿が見事に咲いたのを見た
時は、思わず感嘆の声が出ました。他に黄色い花のサンシュユ、連翹、白も
くれん、匂いのキツイじんちょうげ、などなど、花を見るだけでワクワクと
蕾なら待ち遠しくて胸が高鳴り、踊ります。

茶花は自然や季節を知らせてくれる、茶席には欠かせないものですから、
十分に味わいましょう。ただ拝見するだけでなく、まずどんな花がどんな花
入に入れられているか関心を持つことです。
季節によって花は変わり、梅、椿などの枝ものから草花となるにつれて、花
入も竹の一重切や陶器の花入れ、青磁に牡丹の真の花入だったりと、その季
節、茶会などにふさわしく入れられたものをきちんと見ておきます。
そうすることによって、花の選び方、入れ方、花入との取り合わせなどが
学べます。その積み重ねが、茶花の味わいを深めます。そして「先日は〇〇
の花でしたが…」などと、先生の心尽くしを理解して、時には自宅の花など
持参するのも花名を覚えることにも繋がるでしょう。


<四月の茶会の趣向と銘>
「銘」    清明(せいめい)花曇(はなくもり)暮春(ぼしゅん)
       雲雀(ひばり)藤浪(ふじなみ)胡蝶(こちょう)
       桜:墨田川 桜狩 花の宴 花衣(はなころも)桜川
         花の幕 花小袖(はなこそで)花筏(はないかだ)

「四月の異名」卯花月(うのはなづき)花残月(はなのこりづき)
       清和月(せいわつき)

「掛け物」  山花開似錦(さんか ひらいて にしきに にたり)
       頭上漫々却下漫々(ずじょうまんまん きゃっかまんまん)
       落花隋流水(らっか りゅうすいに したがう)
       梨花一枝春(りか いっしの はる)

「歌銘」   七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき
        太田道潅
       かくてこそ見まくほしけれ万代をかけてしぬべき藤浪の花
        新古今集

「趣向」   花に寄せる趣向です。掛け物は桜や花を詠んだもの、炉縁は
       花筏の蒔絵となれば、水指は手桶と合わせたいです。
       薄茶器にも夜桜や嵯峨蒔絵と、取り合わせも華やかに楽しみ
       たいものです。
       行事としては仏生会(ぶっしょうえ 花祭り)、不昧忌 
       西大寺大茶盛などがあります。

清明(せいめい)
二十四節気の一つ。太陽の黄経が十五度の時。春分後十五日目、すなわち
太陰暦三月の節。太陽暦では四月五日頃。


<国語の時間> 
「立錐の余地なし(りっすいのよちなし)」
この諺を使った次の文は正しいだろうか?
 水田には、立錐の余地がないくらい、稲がぎっしりと植わっている。

答えは×。
「立錐」とは立てた錐のこと。「錐」とは、木に穴をあける道具のことだ。細い錐を
立てる隙間もないほど、ぎっしりと人が集まっている様子を表わす諺で、「球場は
超満員で、立錐の余地もない」等と使う。
人以外のものや、事象で使われることはない。