「教えて茶道」Vol,143

三月ひな祭りと聞くだけで、春がすぐそこに出番だと待っているようです。
昔はなかった花粉症に悩まされる季節もやってきます。
マスクをかけた人も多く見かけるようになりました。
皆様はいかがでしょうか?
今はなっていなくても突然にやってきて、他人事とは思えません。
私も症状は軽症ですが、くしゃみや鼻をすすっております。
鼻をすすっているのはいつものことで、まぶしい光の所へ出たり、目の
検査で光を浴びせられると鼻がむずむずしてくしゃみが出そうになります。
テレビで花粉症に効果があるなんて言う食べ物には注意が向きますね。
花粉症の方はお大事になさってください。


<三月の茶会の趣向と銘>
「銘」 佐保姫(さほひめ)朧夜(おぼろよ)長閑(のどか)桃源
    曲水(きょくすい)汐干(しおひ)春野 陽炎(かげろう)
    踏青(とうせい)帰雁(きがん)雁の別れ 木の芽 山笑う
    社日(しゃにち)菜花の月 
    春の暮:春の夕
    春風:東風(こち)
    蕨(わらび):山根草

踏青(とうせい):春、青草を踏んでの山を散歩すること
社日(しゃにち):「社」は土地の神の意。春分、秋分に最も
    近い戌(つちのえ)の日。土の神を祭って、春は成育
    を祈り、秋は収穫のお礼参りする。春のを春社、秋を秋社という。
    
三月の異名 弥生(やよい)桜月 花月 花見月 

掛物  春風春水一時来(しゅんぷうしゅんすいいちじにきたる)
    桃花笑春風(とうかしゅんぷうにえむ)
    一花開天下春(いっかひらいててんかはるなり)
    柳緑花紅(やなぎはみどりはなはくれない)    
            
歌銘 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき
    古今集 大江千里

   みよし野の山の霞を今朝みれば蕨のもゆる煙なりけり
    
趣向  三月から釣り釜が多くなります。学校の卒業シーズンでもあり、
    ひな祭りと新しい旅立ちを祝う趣向を重ねるのも一興。
    掛物は「千里同風」寄り付には雛人形か立ち雛を飾り、炉縁に
    は高台寺蒔絵。主菓子はわらび餅で、出舟を花入れの釣船にも
    楽しい組み合わせです。
    

<茶杓>銘のエピソード
茶杓の銘は、時代が下がるにつれて自由に機知に富むものもみられ
るようになります。
たとえば、裏千家四世の仙叟(せんそう)に「寝モノ語」という二
本入りの茶杓があります。美濃と近江の国境に寝物語の里という所
があり、両国の農家が隣り合わせで、寝ながら世間話をしたことが
の名の由来といわれ、この里にちなみ、美濃と近江のたけが一つに
隣り合わせているので、「寝モノ語」と命銘したそうです。
また、ある時山田宗偏(やまだそうへん)が削った茶杓は、丈が長
かったので寸をつめたいと思ったとき、つめたい=冷たい=猫の鼻
という連想がひらめき。「猫の鼻」と命銘されました。