「教えて茶道」Vol,124

十月、私の好きな金木犀の香りが漂っています。
そして暦をめくるページが残り少なくなって、慌て気味になります。
でも、年々図太くなって、反省よりまあいいか、になっていきます。
どの辺でブレーキをかけるかが難しいです。


いつもの通り、十月になりましたので、決まり事を述べましょう。
中置(なかおき)の点前になります。十月だけです。
普通は、左端から風炉、水指と置きますが、風炉を点前畳中央に置き
ますので、水指は風炉敷板左前斜めに座って、水指を敷板半がかり、
畳の左縁と敷板の中間に置きます。
ですから、大きいのではなく、細長い水指を使用します。
棗とお茶碗は、元の水指前に置く位置に置き合わせします。
蓋置は、水指正面に置き、柄杓の柄は、膝頭中央にきます。
柄杓を釜に置くと、真正面になりますが、こころもち左よりに置きます
と、茶筅通しが、しやすいです。
敷板に大板や中板などを用いたりします。
大板の場合、板の手前、左に蓋置き、横まっすぐに柄杓を置きます。
飾る時は柄杓と蓋置きをとじ飾りします。
即ち、大板の左側に縦まっすぐに柄杓を置き、柄杓手前右にカタカナの
トの字のように飾ります。

中置点前の時の諸道具は、大体侘びた趣向でしますので、風炉も鉢の鉄
のかけた破風炉とか、ときには大摺鉢に藁灰等を入れたりして使用する
のも面白いものです。

また、十月は名残の月でもあります。
半年にわたって親しんだ風炉とも今月限り。
名残の茶事が行われるのもこの時期、十月中頃から十一月始め。
残茶・余波の催とも言います。
去年の口切から使い続けてきたお茶が、風炉の終わりの時期になると
残り少なくなるため、茶そのものに名残を惜しむ侘びた茶事です。
また、お茶だけでなく、やがて深まる秋と共に去りいくものへの
名残がつのります。

花は、残花と言って、たくさんの花を奇数入れます。

欠風炉(かきぶろ)
鉄風炉の甑や肩の一部が欠けてなくなったものや、割れを継いだもの、
破れ風炉(やれふろ)・やつれ風炉とも言って、この時に使います。

欠け茶碗
欠けや割れの入った茶碗に繕いを施した物など使います。

<立ち振る舞いのポイント>
水屋では、稽古に使う道具を自分で準備し、机などの上にセットして
おきます。
先生に稽古をしてもらう挨拶をしてから道具を取りますが、水屋でも
きちんと座ってから道具を取り上げるようにしましょう。
急いでいる時など、つい立ったままで道具を取り上げる人がいますが、
これはいけません。また、建水を持ってさがってきた時も、一度座っ
てから置き、次の道具を取りに行きます。たとえ人が見ていなくても、
このような丁寧な所作を面倒くさがらずに行う事です。無意識に立っ
たままで道具を取り上げる人もいるでしょう。意識して気をつけるこ
とです。そうすることによって、自然と美しい立ち振る舞いが身に付
いてきます。