「教えて茶道」Vol,107

 

今ごろになって、本来の5月らしい天気が続いていますね。
先週の土日は、近畿地方はとても気持ちいい、行楽日和の天気でした。
弁当忘れても傘忘れるなと言われる雨の多い大台ケ原の大杉谷を登って
参りました。
幸運にも、雲一つない最高の天気に恵まれ、気持ちはルンルンでした。
川の側のアップダウンは、ひ弱な私にはきつく、体のあちこちが筋肉痛です。
でもこの痛みが消える頃は体のすみずみに山の緑のフレッシュがいきわたり、
体の細胞は張切ってに活動するでしょう。力がみなぎるようです。
この勢いを借りて、早速お茶を勉強しましょう。

先週<水屋での心得>を説明いたしました。
読者の方からこのようなメールをいただきました。
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「水屋」ってお茶の道具をしまう食器棚みたいなものですか?
私はたしなまないので、よく知らないのですが、
急に昔母がよく食器棚の事を「みずや」と呼んでいた事を
思い出しました。
やっぱり由来はお茶の世界なのでしょうか?
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そう言えば、田舎の祖母も、そのように言っていたのを思い出しました。
皆様の中にも同じような経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そこで、広辞苑で調べますと、以下の説明がありました。
一番始めがどれかは、わかりませんが…
お茶をしていると、水屋と言えば、準備する部屋と思い込んでおりまし
たが、いろいろな所で使われていることがわかり、いい勉強になりました。
着目点のいい質問メールをありがとうございました。

1:社寺で参詣人が手や顔を洗うために鉢を据えて水をたたえ屋根などを
   設けた所。みたらし。
2:「水谷」とも書く。茶室の隅に設けた茶器を洗う所。一般に、食器を
   洗う場所。
3:茶器などを入れる箪笥様のもの。
4:しばしば洪水に見舞われる低湿地帯農村で、非常物資を備え、また避
   難所とするため、高く土盛りをした敷地の上に建てられた特殊な家屋。
   大河川の下流地帯に多く残る。
5:飲水を売る人。氷水その他の水物を売る店。


茶道の<水屋 みずや>
茶室に付属する勝手、台所で、茶事の用意を整える装置と場所を言う。
昔は縁先にハシリ(流し)を設け、器物を並べる棚を置いていたようであ
る。やがて流しと棚を結合し作付けるようになったらしい。
水屋の広さや設備の内容は茶室の構成に応じて適当に定められ、流し、水
屋棚のほか物入、さらに大炉か、長炉そして丸炉などを具える。
水屋棚の構造は間口は三尺から四尺五寸、奥行きは二尺程度が標準で、棚
は通し棚二段と、二重の釣り棚しつらえる。
上段の通棚は杉縁の桟組に杉板を一枚張りとし、下段はやはり、杉縁桟組
に寒竹を一本か二本挟んで杉板を張った簀子棚とする。
上棚の上方入隅に二重棚を釣る。棚板も釣木も杉材である。
流しの三方の壁に腰板を張り、そこに、茶筅・茶巾などを掛ける竹釘が流
儀の約束によって打たれる。
柱には手拭掛けを打つ。
流しは銅張りで排水口に繋ぎ、上に白竹を檜桟に打並べた簀子をおく。
こうした水屋棚の左か右に物入れをつくる。その余地のないときには上部
に袋戸棚が設けられる。
炭入れは流しの前を揚げ板にして床下に作ることが多い。
水屋は大切な器物を置く場所であるから、働きがよく、すべての設備が安
全な構造をもち、清潔を保持しうるように注意を必要としている。


<茶事>について
一連の流れを述べましたが、正式となる正午の茶事の流れをまとめますと
待合→迎え付け→初炭→懐石→お菓子→中立ち→濃茶→後炭→薄茶
お茶の稽古は、お茶事をするためのこれらを分解して一つずつの練習です。
いろいろな分野にわたりますので、お茶は奥が深いと言われます。
茶事の種類
茶事七事式 暁(あかつき)の茶事、朝の茶事、正午の茶事、
      夜話咄(よばなし)の茶事、不時の茶事、飯後(菓子)茶事、
      跡見の茶事
一客一亭の茶事 客一人のみを招き、亭主は懐石を給仕しながら、点前を
        しながら相伴する。
名残の茶事  十月の中頃から十一月始めに行われる。
口切の茶事  開炉の時期とほぼ同じ頃に行われる。